ベトナムの商標出願で注意すべき事項とポイント
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ベトナムの商標出願で注意すべき事項とポイント

近年、東南アジアは製造業の最優先選択地となっていて、特にベトナムは発展可能な地域が広く、各産業の投資先として人気がある。この記事では、ベトナム進出のための商標出願の方法や注意すべき事項を紹介し、ベトナム国家知的財産局(The National Office of Intellectual Property of Vietnam、以下NOIP)の審査基準や商標出願に成功するためのポイントについて説明し、業界の皆様とベトナム商標出願をスムーズに取得方法を共有することを願う。

ベトナムの商標出願で注意すべき事項とポイント
近年、東南アジアは製造業の第一選択肢となっていて、特にベトナムは発展可能な地域が広く、各産業の投資先として人気がある。ベトナム国家知的財産局(National Office of Intellectual Property of Viet Nam、以下NOIP)の統計によると、商標出願人の内訳は、第一に健康産業関連(約22.84%)、次いで商業サービス(約16.54%)、第三に農業産業関連(約16.31%)となっている。この記事では、ベトナムで商標を出願する際の方法や注意すべき点について説明し、よくみられる拒絶事例を共有する。また、よく見られる審査意見(OA)の理由にはどのようなものがあるか、NOIPがどのように審査するかを説明し、産業界がベトナムで商標をスムーズに取得するための情報を提供する。
 
 
ベトナム商標出願の方法
1. NOIPに商標出願を直接提出する。
2. マドリッド制度を通じて国際商標を出願し、ベトナムを指定する。
 
 
商標出願前の注意事項
1. 「先出願先登録」原則に基づいている。
2. 関連書類はベトナム語で提出する必要がある。委任状や優先権書類は他言語でも可能だが、ベトナム語訳を添付する必要がある。
3. 出願人のフルネーム、住所、国籍、および職業を記載する必要がある。
4. 指定商品または役務の名称が必要である。
5. 黒白またはカラーの商標デジタル画像(8cm×8cm)を1点提出する必要がある。
6. 商品または役務は最大6つまで指定でき、7つ以上指定する場合は追加料金が発生する。
7. ベトナムは1949年にマドリッド協定に加入し、2006年にマドリッド議定書に加入している。
8. NOIPは1つの出願で複数の区分を指定する商標出願を認めている。
9. NOIPは「音商標」、「証明標章」、「団体商標」の出願も認めている。
 
 
商標審査実務の注意事項
1. 商標は文字、スローガン、図案、アルファベット、数字、色の組み合わせ、またはこららの連合から構成できる。ただし、ベトナム語や英語以外の一般的でない言語(例えば:日本語)のみから構成された商標は、識別力が欠如していると判断されることが多く、大量の使用実績資料を提出する必要がある。したがって、出願時には他の図形や英語、ベトナム語と組み合わせて識別力を強化し、承認の可能性を高めることをお勧めする。
 
2. 他人の商標出願が自分の商標権益に影響を与えると考える場合、その出願が公開された後、登録査定前に第三者意見書を提出することができる。これは審査の参考となる。
 
3. 商標分割制度があり、分割のタイミングは公式の拒絶決定が出る前である。
 
4. 悪意の登録は商標異議および商標取消の理由となり、悪意のある商標登録を防止できる。
 
5. 審査中の出願商標が受けた拒絶理由の根拠商標と同一または類似している場合、出願人がその根拠商標に対して異議申立または不使用取消を申請する場合、商標出願の審査猶予を請求することができる。異議申立または不使用取消の結果が出た後に再審査を行う。
 
 
商標出願の流れ
1. 形式審査(1ヶ月以内)
2. 公告(2ヶ月)
3. 実体審査(9ヶ月以内)
4. 審査結果通知
5. 登録
 
 
登録査定の場合
NOIPが登録命令(registration order)を発行し、商標を公告する。5ヶ月以内に誰でもその商標に対して異議を申し立てることができる。異議がない場合、出願人は公式の登録通知を受け取ってから10日以内に登録料を支払う必要がある。
 
 
拒絶理由がある場合
NOIPの実体審査後、登録できない事由があると判断された場合、出願人に90日以内に答弁意見を提出するよう通知する。審査意見を克服できなかったり、答弁意見を提出しなかった場合、NOIPは拒絶処分を発行する。出願人がNOIPの決定に不服の場合、30日以内に科学技術省(The Ministry of Science and Technology、以下MOST)に再審を提起することができる。MOSTの決定に不服の場合、1年以内に裁判所に提訴することができる。
 
登録不可の商標の類型
1. 著名商標と同一または類似している標識。
2. 商品や役務の生産時間、場所、方法、カテゴリー、数量、品質、性質、成分、予想用途、価値などを説明する標識。
3. 一般名詞や標章。
4. 商品や役務の性質、品質、産地などについて消費者を誤解させる情報を含む標識。
5. 地名。
6. ベトナムの国章や国旗と同一または類似している標識。
7. ベトナムの国家機関、政治組織、社会組織、または国際組織の紋章、旗、徽章、略称、または正式名称と同一または混同を招く標識。
8. 国際組織の認証マークや認証印と同一または類似している標識。
9. ベトナムまたは外国の元首、民族英雄、または著名な人物の名前、別名、仮名、または肖像と同一または類似している標識。
10. 商標の消滅期限が満了していない商標と同一または類似している標識。
11. 植物品種の名前と同一または類似している標識。
12. 著作権で保護された作品の中、広く知られている名前や人物、図形と同一または類似している標識。
13. 立体商標の形状が一般的な形状であるか、効用を発揮するために必要な形状、または商品価値を増加させる形状である標識。
14. 保護されたワインまたはスピリッツの地理的表示と同一の標識。
15. 他人の工業デザインと同一または類似している標識。
 
 
一般的な拒絶理由
1. 商品や役務の名称が広すぎるまたは不明確である。名称の翻訳問題を避けるために、ベトナム語版のニース分類を使用して商品や役務の名称を選ぶことを推奨する。
2. 単なる漢字または少しのみデザインされた漢字。ただし、商標全体に図形、英語、漢字が含まれている場合、漢字部分はディスクレームすることにより、全体的に商標登録が可能である。
3. 一般的でない言語の文字。
4. 商標名称に「説明的」または「描写的」な用語が含まれている。
5. 出願人の前の出願と後の出願で、ベトナムの各代理人の翻訳が異なることにより、公式に異なる出願人と認定され、前の出願をもって、後の出願が拒絶される。
 
 
商標異議
ベトナム知的財産権法第112条の規定によれば、第三者は商標登録出願の公告日から5ヶ月以内に商標異議申立を提出することができる。NOIPが異議申立を受理した後、出願人に2ヶ月以内に答弁を提出するよう通知する。必要に応じてさらに2ヶ月延長することができる。NOIPが異議を認める決定を下し、出願人がその決定に不服の場合、3ヶ月以内にMOSTに上訴することができる。MOSTの決定に不服の場合、2ヶ月以内に裁判所に上訴することができる。
 
 
商標保護期間
商標は出願日から10年間の保護期間があり、商標登録証の取得には約18〜24ヶ月かかる。出願人は紙の登録証または電子登録書を選択できる。
 
 
商標更新
商標は権利期限の満了前の6ヶ月以内に更新を申請できる。満了後も6ヶ月の猶予期間内に遅延料金を支払って権利を維持することができる。
 
 
商標の不使用取消
ベトナム知的財産法第96.3条によると、商標権者が正当な理由なく5年間使用していない場合、誰でも不使用取消申請を提出して商標登録の取消を求めることができる。不使用取消の請求者は、この請求の前の5年間に対象商標が登録された商品に使用されていないことを証明する必要がある。NOIPは商標権者に対して、2ヶ月以内に不使用取消に対する答弁を提出するよう通知する。必要に応じてさらに2ヶ月の延長が可能である。商標権者は、商標使用の証拠を提出するか、商標が使用されなかった正当な理由や特別な事情についての証拠を提出し、不使用取消の申請に対する答弁を行う必要がある。
 
 
商標の税関差押え
商標権者は税関(CCSD)に登録商標を登記申請できる。申請が承認されると、20日以内に通知され、税関による商標ウォッチングは2年間有効となる。必要に応じてさらに2年間延長することができる。税関職員が備え付けの記録に基づいて、貨物が知的財産権を侵害している疑いがあると判断した場合、その貨物を押収し、輸出入業者および商標権者(または代理人)に通知する。商標権者や著作権者は、通知を受け取ってから3日以内に通関の一時停止を申請する必要がある。これにより、税関は疑わしい侵害物品の通関手続きを一時停止する。一時停止の期限は、一時停止決定日から10日間で、商標権者や著作権者は最大10日間の延長を請求することができる。
一時停止期間が終了した後、税関は侵害の状況に基づき、以下の決定を行う。
• 貨物の押収決定、
• 行政処罰および補救措置の実施、
• 侵害物の価値が刑事訴追の基準に達する場合、案件を執行機関に引き渡し、調査および刑事訴追を行う。
 
 
総括
この記事では、ベトナムで商標を出願する際の注意事項について説明した。業界の皆さまが商標制度を理解し、ベトナムでスムーズに商標権を取得できるように、本記事が参考になればと思う。
 
 
出典:
1. ベトナム国家知的財産局
https://www.ipvietnam.gov.vn/web/english/home
2. ティレケ法律事務所 
https://www.tilleke.com/insights/how-vietnams-amended-ip-law-will-impact-trademarks/
3. ラウズ法律事務所
https://rouse.com/
4. 経済部知的財産局「ベトナム商標制度概説」
5. 中国商標ネット「ベトナム商標登録と権利保護プロセスの比較研究報告」
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