特許用語の権利範囲解釈に関する事例紹介
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特許用語の権利範囲解釈に関する事例紹介

  • 判決番号:111(2022)度上字第799
  • 争点:係争特許の「プレゼント対象者のユーザーコード」と証拠1の「消費者識別情報」は同じものか?
  • 係争特許請求項1:

端末装置およびサーバーを含む予約購入システムであって、前記端末装置はレジスターおよび店舗ホストコンピューターを含み、前記レジスターは複数の同一商品の予約購入情報およびプレゼント対象者のユーザーコードの入力を受信し、決済作業完了後に引換券をプリントアウトし、前記店舗ホストコンピューターは前記引換券に基づき販売記録引換請求を生成し、前記サーバーは前記端末装置から前記販売記録引換請求を受信し、逐次引換情報を作成し、前記プレゼント対象者が前記同一商品を逐次引き換える際の根拠とし、前記サーバーは前記逐次引換情報に基づきメッセージ送信プラットフォームを通じて前記プレゼント対象者の前記ユーザーコードを通知し、前記メッセージ送信プラットフォームは前記ユーザーコードに基づき前記プレゼント対象者を通知し、前記プレゼント対象者が前記同一商品の引き換えを希望する場合、前記レジスターが前記引換券上の引換バーコードを読み取り、前記店舗ホストコンピューターが前記サーバーに接続して前記逐次引換情報を確認し、誤りがなければ、サーバーは前記逐次引換情報の中から前記プレゼント対象者が引き換えた前記同一商品の数量を差し引くことを特徴とする、予約購入システム。

 

  • 証拠1

商品引換システムであって、消費者が複数のショップの中の1店のショップにおいて割引価格にて少なくとも1つの引換券を取得できるようにし、各引換券には識別情報が含まれ、前記消費者はこの引換券でその中の1店のショップで対象商品と引き換えることができ、前記対象商品は前記識別情報の中から選択された1つの識別情報に対応し、各ショップには引換券読取装置が設置され、前記引換券読取装置は前記引換券を読み取るのに用いられ、前記商品引換システムはプロセッサーおよびストレージデバイスを含み、前記ストレージデバイスは前記プロセッサーと電気的に接続し、前記ストレージデバイスはコンピュータープログラムおよびデータベースを保存し…。(請求項19を参照)。

  • 原判決:

係争特許請求項1と証拠1を照らし合わせると、証拠1の「レジスター装置」は係争特許請求項1における「レジスター装置」に対応し、証拠1の「複数の同一商品情報(例:三期商業月刊)」は係争特許請求項1の「複数の同一商品の予約情報」に対応している。証拠1の「引換券番号、身分証番号または会員番号などの消費者識別情報」は係争特許請求項1の「プレゼント対象者のユーザーコード」に対応し、証拠1の「引換券」は係争特許請求項1の「引換券」に対応している。

  • 原告の主張:

原告は、証拠1の「消費者識別情報」は「指定可能」であるという技術性を欠いており、係争特許請求項にある指定可能なコードである「プレゼント対象者のユーザーコード」とは技術的に異なり、原判決が「プレゼント対象者のユーザーコード」と証拠1の「消費者識別情報」を同等であると判断したことは誤りであり、これは進歩性に関する審査原則全体に反すると主張している。

  • 最高行政法院(最高行政裁判所)の決定:

調査の結果、係争特許請求項1および5に記載の「レジスター装置は…プレゼント対象者のユーザーコードの入力を受信し」とは、レジスター装置がプレゼント対象者のユーザーコードの入力を受信することを定義しており、〈係争特許〉はプレゼント対象者を「指定する」という技術的特徴を有していない。また、係争特許明細書の第0028段落、第0029段落、第0030段落…および第0035段落には「プレゼント対象者はユーザー本人または他者であり得る」と記載されており、「指定対象者(選択行為)」についての記述はない。したがって、原判決において、上訴人が「指定可能な対象者」を「プレゼント対象者」に置き換えることにより係争特許請求項1および5における「プレゼント対象者」の制限条件を不適切に追加したと判断したことに誤りはない。

証拠1には、係争特許請求項1に記載されている「前記サーバーが逐次引換情報に基づき、メッセージ送信プラットフォームを通じてプレゼント対象者の前記ユーザーコードを通知し、前記メッセージ送信プラットフォームが前記ユーザーコードに基づき前記プレゼント対象者を通知する」という技術的特徴は明示されていない。しかし、「携帯電話のショートメッセージによる認証または通知」は既知の技術であり、さまざまなメッセージ(情報)の通知に一般的に使用されており、受信者は関連するメッセージを知ったり確認したりすることができる。当該技術分野における通常の知識を有する者にとって、「携帯電話のショートメッセージによる認証や通知」が証拠1に用いられる際、証拠1の「消費者識別情報」には「電話番号」が含まれ、証拠1の「消費者識別情報」は消費者の身元を確認するためのものであると考えられ、電話番号によって消費者の身元を確認することは当該技術分野における通常の知識である。したがって、係争特許請求項1にある「前記サーバーが逐次引換情報に基づき、メッセージ送信プラットフォームを通じてプレゼント対象者の前記ユーザーコードを通知し、前記メッセージ送信プラットフォームが前記ユーザーコードに基づき前記プレゼント対象者を通知する」という技術的特徴は、当該技術分野における通常の知識を有する者が証拠1に示された技術内容に簡単な変更を加えることで同じ技術や効果を達成できるものである。

  • 結論:

発明特許の権利範囲は、明細書に記載された特許請求の範囲に基づくものとされ、特許請求の範囲を解釈する際には、明細書や図面も考慮されることが、専利法(特許法)第58条第4項に明文化されている。用語の多義性や解釈の誤解されやすさにより、特許請求の範囲を解釈する際には、明細書や図面を参酌し、特許明細書全体を見て、発明の目的、機能、効果を理解する必要がある。ただし、特許請求の範囲は、明細書に記載された実施形態や実施例を総括的に定義したものであるため、明細書の実施例を参酌して特許請求の範囲を解釈する場合、特許請求の範囲の最も広く合理的な解釈に基づくべきであり、特許請求の範囲の内容が実施形態に限定されるべき旨が明細書で明確に示されている場合を除き、実施形態を基に特許請求の範囲を限定するべきではなく、外部に公表された客観的表現の特許権範囲を変更すべきではない。本件において、上訴人は、証拠1の「消費者識別情報」には「指定可能な」技術的特徴がなく、係争特許請求項にある「プレゼント対象者のユーザーコード」が有する指定可能なコードの技術性とは異なると主張しているが、請求項や明細書のどちらにも「指定可能な」技術的特徴は開示されていない。また、ソフトウェア特許においては、同じ意味を持つ構成要素であっても異なる用語が使用されることがあるため、明細書全文を通して両者が実質的に同じ要素であるかどうかを解釈する。

 

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