ソフトウェア関連発明における適格性の問題
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ソフトウェア関連発明における適格性の問題

ソフトウェア関連発明における適格性の問題

I. 台湾のソフトウェア関連発明におけるコンピューターの簡単な利用に関する判断は、課題や手段や効果が当該技術分野において具体的に実現されているか否かに基づく。請求項の内容が効果や結果の簡単な記載のみであった場合、発明の定義、実施可能要件、請求項の明確性等の特許要件を満たさない恐れがある。コンピューターソフトウェアの審査基準によると、請求項においてデータ入力(若しくは収集)の技術手段、又はデータ出力(若しくは表示)の技術手段が記載されているが、データ入力後、出力前の具体的な情報処理手段やステップが具体的に記載されておらず、データ処理の目的又は結果のみの場合、適格性の問題が生じる恐れがある。

 

II. 台湾のソフトウェア関連発明に対する適格性の審査基準は、米国特許法第101条ほど厳格ではないが、全体的な概念上の論理は類似している。仮に、特許請求の範囲が抽象的アイデア(Abstract Idea)だけで、特定の技術的特徴に明確に限定されていない場合、又は人為的規則(Human Activity)若しくは既存の方法を単純にコンピュータにより実施したものに過ぎない場合は、いずれも特許適格性の基準を満たさない。

 

III.ソフトウェア関連発明を特許出願する際、応用面を考慮するよりも、まず「解決すべき技術的課題」を見極め、どのような技術性の手段を用いるべきかを検討し、技術的な考慮を核に据える必要がある。人為的規則をコンピュータプログラミングすることにより、ビジネス上又は人的労力の簡略化上の効果を達成したものに過ぎないと、適格性の問題に陥ることが一般的にある。

 

 

 

1.争点:請求項1は適格性を有するか

 

2.判決番号:109年(2020年)度民専訴字第53号

 

3.係争特許:コンピュータ可読媒体により実行される金融方法及び金融システム 

 

4.判例紹介

 

1)過程:


 係争案件「コンピュータ可読媒体により実行される金融方法及び金融システム」は2016年6月30日付で出願され、智慧財産局(台湾特許庁)が2020年5月13日付で再審査拒絶査定を下した。原告は、この査定を不服として訴願を提起したが棄却されたため、さらに行政訴訟を提起した。しかし、智慧財産法院(台湾知財裁判所)は2021年5月20日付の109年度民専訴字第53号判決において、原告の訴えを棄却した。

 

2)請求項1

 

 第1契約期間及び第2契約期間を設定し、第2契約期間は第1契約期間の後に続くことと、第1契約期間において、消費者が購入証明を利用してショップで購入対象を購入する購入情報を消費者端末から受信し、購入情報には購入証明の情報及び購入対象の元の価格を含むことと、購入証明に基づき次のステップを決定することと、購入対象がショップの提供する第1優待価格を有するか否かを購入情報に基づき判断し、自発的にショップ又はマーケットプレイスから購入対象関連の第1優待価格を取得することと、(1)購入対象が第1優待価格を有しない場合、金融機関が当該ショップに第2優待価格を支払うようにする命令を出すことと、(2)購入対象が第1優待価格を有する場合、第1優待価格と第2優待価格を比較するとともに、金融機関が当該ショップに低い方の価格を支払うようにする命令を出し、消費者に元の価格を請求するように命令を出すことと、第2契約期間において金融機関が消費者に元の価格を支払うようにする命令を出すことと、を含むコンピュータ可読媒体により実行される金融方法。

 

(3)裁判所の判決における見解:

 

①係争案件の請求項1の特徴の中には、「命令の発行」を利用するものがあるが、その手段は特別なアルゴリズムではない。したがって、請求項1に記載の手順及び命令は、クレジットカード等の金融商品取引で人間に対応するに過ぎず、自然法則を利用しないビジネスの契約条件や支払い請求、支払い、利益分配のビジネスモデルにより、通知及びキャッシュフローの設定又は実行をし、人間の主観的意志又は人為的規定によって決まるものであり、その課題を解決する手段は自然法則以外の規律を利用しているため、発明自体は技術性を有していない。

 

②人間の既存の手順をシステム化する場合、システム化のアルゴリズムを明細書で十分に開示すると同時に、請求項にもアルゴリズムの必要なステップを記載すべきであり、簡単に効果や結果に言及するだけではならない。さもなければ、発明の定義、実施可能要件、請求項の明確性、進歩性に反することになる。係争出願の「2つの契約期間の入出金メカニズム」及び「優待価格の比較」は、本質的に発明全体に技術性を持たせる特殊なアルゴリズムではない。また、2つの契約期間は人為的な設定に過ぎず、その期間を決定する特殊な算術論理は開示されておらず、一般的なデータや数値の比較方法によりビジネスルールを決定しただけである。したがって、係争出願案件は、単純にコンピュータを利用して人間の作業を代わりに実行するものに過ぎず、審査基準上の発明の定義に該当しない。
 

 



 

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