近年のメタバースという概念において、技術的なブレークスルーに加え、メタバース内の多くのオブジェクトやシーンがデザインされているが、台湾では、どのようにそれらの意匠権を出願して権利を主張するのだろうか?
智慧財産局(台湾特許庁)は、デジタル仮想世界におけるオブジェクトと現実世界における実体を伴う物品は、意匠登録の基準においてと類似物品とは見なされないため、新規性の判断において現実世界の物品を先行意匠(Prior art)として用いることは認められないとの見解を発表している。
しかしこれは、誰もが、他人の現実世界における物品をベースとして作成された仮想世界上のオブジェクトについて意匠登録出願できるということを意味するのかといえば、そうではない。
当局は、新規性(novelty)を拒絶の根拠とすることはできないが、「当該先行意匠の模倣(imitate)、転用(divert)、置換(replace)、組み合わせ(combine)等の簡単な意匠手段により、出願に係る意匠を完成し、且つ特異な視覚効果(Visual effects)が生じない場合は、容易に想到しうる意匠であると認定すべきである。」という進歩性(非自明性、non-obviousness)の判断原則を用いることはできる。
また、当局は意匠権侵害の判断において、現在の基準では、仮想世界上のオブジェクトのみについて意匠権を出願した場合、それに対する現実世界の物品による権利侵害を主張することはできないと念を押している。
意匠権をより完全に保護するためには、やはり現実世界の物品についても意匠登録出願を行うことが推奨される。特に、仮想現実はまだ進歩性の影響を受けるため、同日中に出願することをお勧めする。