よくある質問

　自身の営業上の商品／役務を識別するために商標を使用する、あらゆる国内外の自然人、法人またはその他事業体（企業、商店）は、個人、法人または事業体の名義で商標登録出願を行うことができます。ただし、団体商標、団体標章、証明標章の出願には次の制限があります。

（1）  団体商標または団体標章は会員が使用するものであるため、出願人は、法人資格を有する同業組合、協会、またはその他団体等の社団法人に限られます。したがって、出願人は法に基づいて該当する地方裁判所で法人登記をした法人登記証書を提出する必要があります。

（2）  証明標章の出願人は、他人の商品／役務を証明する能力を有する法人、団体または政府機関に限られます。出願人は、他人の商品／役務を証明する能力を有すること、標章の使用を管理監督する能力を有することを証明する書類と、証明する商品の製造、販売または役務の提供に従事していない旨の声明書を提出する必要があります。

　「商標図案」とは、出願人が登録出願したい商標を図と文で表現したものです。商標見本は、明瞭で添付しやすく、光沢のある丈夫な紙に印刷されたものとし、5～8cm平方の大きさのものを5部提出します。写真用紙は、色褪せや登録証に貼り付かないおそれがあるので、使用できません。

（1）  色彩商標の出願は、上記の規定に加え、商標の描写を提供して、色彩およびそれが指定商品／役務に使用される状況を説明する必要があります。

（2）  音商標出願の商標図案は表現する音声の五線譜または数字譜であり、楽譜で表現できない場合は、文字説明で代替し、いずれの場合も当該音声の音声ファイル（WAV形式）を提出する必要があります。

（3）  立体商標出願の商標図案は立体形状を表示する透視図であり、透視図は6個まで提出できます。

　ホログラムとは、レーザーを用いて1枚のネガフィルム上に複数の画像を同時に記録する技術（ホログラフィ）により、立体的に表現された１つまたは複数の画像であり、見る角度を変えると虹色に変化します。ホログラム商標はレーザーラベルによる標識であり、偽造防止機能を備えたラベルや単なる商品の装飾ではなく、商品／役務の出所を表示する機能を備えたラベルとして消費者に認識されるものであれば、商標としての登録出願が可能です。

　動きの商標に音を組み合わせて結合商標として出願する場合、動き商標の願書を使用し、商標図案では動きの連続した静止画像を表示し、音の部分はその動きの映像を構成する静止画像の数やその画像の変化過程等の細部を商標の記述で説明する必要があります。たとえば、音楽性を有する音の商標は、五線譜または数字譜でその音を表現したものを商標図案とし、その商標タイプに応じた商標見本を提出します（台湾商標法施行規則（中国語：台湾商標法施行細則、以下「商施」）13I、16および非伝統的商標審査基準9を参照）。

　2012年7月1日施行の改正商標法の条文で例示された色彩、立体形状、動き、ホログラム、音の商標に限らず、嗅覚、触覚、味覚等によって感知できる標識も、商標法の識別性に係る規定に符号する場合は商標登録出願が可能です。出願には「その他の非伝統的商標」として願書を作成し、図形と文字で表現された商標図案と商標の記述も提出します。審査時に見本を参考にする必要がある場合は、商標見本の提出が必要な旨が通知されます（商施13I）。

　審査を経て登録査定後に取得される商標権は一つであるため、二つ以上の商標を一つの出願として提出することも、単一の登録商標について異なる使用権利を主張することもできません。「一商標」とは、一般的社会通念や関係する消費者の認知に基づき、人々に事業の出所が単一であることを示して認識させるものです。中国語と英語の意味が全く無関係である場合、もしくは２つの図形である場合でも、同一の図案上に配置され、客観的事実の観察により、商標全体が関係する消費者に単一の事業であるという印象を与えるものであれば、「一商標」と見なされます。ただし、これにより異なる商標権が発生する疑いがある場合は、実際に登録出願される商標見本に示される図案の内容により個別に判断されます。（台湾商標法（以下、「商」）19Ⅳ）

　出願時の商標見本の色については、実際に使用されている、または使用される予定の態様を原則的に用い、実際の商標使用時に異なる状況に応じて色を変更する場合は白黒または単一色で出願し、実際の商標使用時にその他の色を採用しても実質上登録商標の主要な識別特徴が変わらなければ、原則的にその登録商標が使用されていると認められます。一方、出願登録時の商標見本が2色以上の組合せから成る場合（即ちカラー見本）、かつ採用されている色がその商標の主要な識別特徴を成す場合、実際の使用商標に白黒またはその他の異なる色が採用され、一般的社会通念および消費者の認知に基づき、その使用商標が消費者に与える出所のイメージが登録商標と同一でないと判断されると、登録商標が使用されているとは認められません。

　「指定商品および役務分類表」（詳細は商施19附則参照）に従って指定商品・役務の区分を指定し、指定商品や役務の名称を具体的に列記します。指定商品・役務の名称は実際の市場で取引される際に常用される呼称を用い、個々の指定商品・役務の名称の中に新しい製品やサービスが含まれる場合、もしくは翻訳された名称であり不確かな場合は、実際に使用される商品カタログや、その商品の機能、用途、原材料および同じ指定商品・役務に係る当該商標がすでに他国で登録されていることを示す関連資料等を提出します。

　商標登録の願書を提出する際、出願人、商標図案、指定商品／役務の3項目がすべて記載（添付）されていれば、その提出日が出願日として認定されます。願書提出時にその中の1項目でも不備がある場合、補正を完了した日が出願日となります。（商19、商施3、19）

　WTO（世界貿易機関）加盟国または台湾と相互に優先権を承認している国において、合法的に商標を登録出願し、その出願人が最初の出願日から6ヶ月以内に、台湾で同一の商品／役務の一部または全部について、同じ商標を以って登録出願する場合は、優先権を主張することができ、最初の出願日が優先権日となります。

　ただし、優先権を主張する際は、登録出願と同時に優先権を主張する旨の声明書を提出し、願書には最初に出願した際の出願日、当該出願を受理した国、およびその出願番号を明記し、最初の出願が当該国で受理されたことを示す証明書類を台湾における出願日から3ヶ月以内に提出する必要があります。

　商標の機能は主に商品／役務の出所を識別することにあり、商標全体が識別性を有していれば、その商標は機能を備えていることになります。しかし、商標登録者は往々にして販売促進のために、商品／役務と関連する品質、機能、産地等の説明、あるいは公告のキャッチフレーズなど、識別性を有しない事項を商標図案に組み込んで登録出願することを好むことがあります。商標全体が識別性を有していても、商標図案に含まれる前述の事項が専用権を有するか否かについて、商標権者とその競争同業者の見方は異なる可能性があり、市場の公平な競争や秩序に影響を及ぼすおそれがあります。商標法改正前は、商標図案に説明性を有する部分や識別性を有しない部分が含まれる場合、出願人は一律にそれらの部分を削除するように求められましたが、それでは理に適わないため、このような部分の専用権を放棄する「専用権放棄声明（不専用の声明）」という制度ができました。つまり、出願する商標に説明性を有する部分や識別性を持たない部分が含まれていることを出願人が認め、法に基づき単独で登録できないこのような部分について、専用権を放棄する旨を声明し、当該商標全体に識別性を持たせてることで、単独では登録できないこれらの部分を商標の図案中に残せるようになりました。

　商標図案に識別性を持たない部分が含まれ、かつ「商標権の範囲に疑義が生じるおそれがある場合」、法により単独登録できない「識別性を持たない部分」について専用権を放棄する旨を声明することにより、その商標が取得する権利の範囲を明確にすることができます。商標権の範囲に疑義が生じるか否かは次のように判断します。

（1）  識別性を持たない部分が、同業者や公衆が一般的に指定商品／役務の描写に使用するものである場合、原則上それらの部分が商標権の範囲に疑義を生じさせるおそれがない状況であると認定できれば、専用権放棄を声明する必要はありません。具体的には、「専用権放棄声明の審査基準（中国語：聲明不專用審查基準）」の補足として、「専用権放棄声明が不要となる例示事項（中国語：無須聲明不專用例示事項）」が公告されています。

（2）  商標図案中の文字描写が商品／役務の説明であるが、同業者や公衆がそれにより指定の商品／役務を説明することが珍しく、商標権者が説明性を有する当該文字について専用権を取得しているか否かが不明確で、商標権の範囲について容易に疑義が生じる場合は、専用権を放棄する旨を声明する必要があります。また、説明性の用語が外国語で、海外の同業者および公衆がそれを指定の商品／役務の説明に使用するケースでも、国内の同業者や公衆が使用することが少ない場合は、商標権の範囲が及ぶか否かについて疑義が生じる可能性があるため、専用権の放棄を声明する必要があります。

　登録査定書送達後2ヶ月以内に登録料を納付しなかった場合、故意でなければ、納付期間満了後6ヶ月以内に倍額の登録料を納付することにより登録公告され、登録証書が発行されます。ただし、出願人が出願を行った時点ですでに第三者により商標登録されていた場合または出願されていた場合は、第三者の権益へ影響が及ぶのを回避するため、期限後の倍額納付による権利回復を行うことはできません。（商32）。

　登録査定を受け出願人が査定書送達後2ヶ月以内に登録料を納付すると、商標公報に登録が公告され、その登録公告日から10年間が商標権存続期間となります。

　商標登録後、商標権者が登録商標の使用を継続したい場合、存続期間満了前の6ヶ月以内に更新登録を行えば、1回の手続きで10年延長することができます。更新登録の手続きには登録商標の指定商品／役務の全部または一部を記載した申請書を提出します（商施35）。

　商標権存続期間満了後6ヶ月以内であれば、更新登録手続きを行うことは可能ですが、当局手数料が倍額になります。

　登録商標の使用は商標権の維持と保護において非常に重要です。台湾商標法第5条では商標の使用が明確に定義されており、同法第63条では商標権者に課された登録商標使用の義務について規定されており、商標は登録後法に基づき使用する必要があり、3年以上不使用の場合、商標の一部のみ使用の場合、または変更や付記を加えた使用の場合等は、第63条の登録を撤回する事由に該当します。

　商標法の関連規定に違反する商標「登録」に対しては異議申立または無効審判請求が可能です（商48、57）。出願中の商標が登録できない事由を有することを発見した際、当該商標がまだ登録されていなければ第三者は異議申立も無効審判請求も行うことはできませんが、当該出願の査定前に、関連する証拠資料を添付した意見書を台湾の知的財産主務官庁である経済部智慧財産局に提出することは可能です。この意見書に特定の形式はありませんが、商標出願番号、主張する事実および理由を明記する必要があります。問題の商標が登録査定を受けた時点では第三者はまだ当事者ではないため、登録査定の行政処分に意見がある場合は、登録公告後に異議を申し立て、その結果を基に救済手続きを進めることになります。

　登録された商標が登録すべきでない事由を有すると考えられる場合、時期や利害関係人か否かによって異なりますが、異議申立または無効審判請求を行うことができます（商48、57）。商標登録後にその商標が不使用であったり不当に使用されていると思われる場合、その商標登録の撤回を請求できます（商63）。

　商標の登録が規定に反する場合、何人も、商標登録公告日後3ヶ月以内に異議を申し立てることができます。異議申立は1登録商標ごとにそれぞれ個別に申請します（商48Ⅲ）。また、異議申し立ては登録商標の使用する一部の指定商品／役務について行うことができます（商48Ⅱ）。異議を申し立てる者は、事実および理由を明記した異議申立書に副本を添え、異議申立書に添付書類がある場合は副本にもそれを添付します（商49Ⅰ）。

　登録された商法について、利害関係人が当該商標の登録は自己の権益に影響を及ぼし、かつ商標法に違反して登録すべきでない事由を有すると考える場合は、その登録に対して無効審判を請求できます（商57）。無効審判は1登録商標ごとにそれぞれ個別に申し立てます（商48Ⅲを商62に準用）。また、無効審判請求は登録商標を使用する一部の指定商品／役務について行うことができます（商48Ⅱを商62に準用）。無効審判を請求する者は、事実および理由を明記した無効審判請求書に副本を添え、無効審判請求書に添付書類がある場合は副本にもそれを添付します（商49Ⅰを商62に準用）。商標登録が台湾商標法第30条第1項第10号に違反していることを主張して無効審判を請求する場合、登録後3年以上経過している登録商標を引用する場合、無効審判請求前3年間にその引用登録商標が指定商品／役務に使用されていた証拠を提出するか、不使用の正当な理由を実証しなければなりません。使用証拠は、商標が実際に使用されていたことと、一般的な商業取引習慣に合致していることを十分に証明できるものでなければなりません。

　法律の安定性の維持と商標権者および無効審判請求人双方の権益の衡平のため、公共秩序または社会的利益にかかわらない不登録事由（商29Ⅰ、30、65Ⅲを参照）については、5年の除斥期間が定められており、当該商標の公告登録日後満5年が経過すると無効審判請求ができなくなります。経済部智慧財産局が職権により無効審判請求を行うこともできません。ただし、ワインまたはリカーの産地表示についての悪意の冒認出願（抜け駆け登録）や他人の著名商標は5年の除斥期間の制限を受けません。

　商標法第63条第1項規定により、商標登録後次に掲げる事情の一つに該当するものは、経済部智慧財産局が職権または請求によりその登録を廃止（取消）しなければなりません。

（1）自ら商標を変更しまたは付記を加えたことにより、同一または類似の指定商品・役務において、他人が使用する登録商標と同一または類似を構成し、関連する消費者に誤認混同のおそれを生じさせるとき。使用許諾を受けた者が前述の行為を為し、商標権者は当該行為を明らかに知っていた、または知り得たにもかかわらず、反対を表明しなかった場合も同様とする。

（2）正当な事由なくして不使用または使用の停止が引き続き3年を経過したもの。ただし、使用許諾を受けた者が使用しているときは、この限りでない。

（3）第43条の規定に反し、適当な区別標示を付け加えないとき。ただし、商標主務官庁が処分する前に区別標示を付加し、誤認混同を生じさせるおそれがないときは、この限りでない。

（4）商標がすでに指定商品・役務の一般的な標章、名称または形状となっているとき。

（5）実際の商標使用時に公衆にその商品／役務の性質、品質または産地を誤認誤信させるおそれがあるとき。

　商標法に基づき民事救済・刑事救済を求めることができます。

（1）民事救済：商標権者は、その商標権を侵害した者に対し、侵害の除去を請求することができ、侵害のおそれがある場合は、侵害防止を請求することができます。また、故意または過失により商標権を侵害された場合、損害賠償を請求することができます。商標権者が損害を立証しづらくなることを回避するため、商標法第71条では損害の計算方法が定められており、商標権者は各号の一つによりその損害賠償金額を計算することができます。

（2）刑事救済：模倣品の製造販売行為は3年以下の懲役、拘留またはNT$200,000以下の罰金に処され、または併科に処されることがあります。販売、または販売を意図して所持、展示、輸出または輸入した場合は、1年以下の懲役、拘留またはNT$50,000以下の罰金に処され、または併科に処されます。

（3）商標権侵害の民事・刑事責任はすべて司法訴訟手続きによって確定し、商標権者による訴訟提起以外に、模倣品の取り締まりを専門的に行う警察部隊（中国語：「保護智慧財産権警察大隊」、通称「保智大隊」）に関連する具体的な使用事実証拠を提出して検挙につなげることが可能です。

　商標権者による広範囲な宣伝販売を経て市場ですでに相当な信用を得ており、関連事業者または消費者に普遍的に認識されている登録商標は著名商標と認められます。著名商標の保護範囲は一般的な登録商標よりも広く、その使用が同じまたは類似する商品／役務に限定されません。したがって、著名商標権者の権益に対する侵害を回避するため、次の事項に注意する必要があります。

（1）他人の著名登録商標と同一または類似する商標を、同一または類似の商品／役務に使用し、関連する消費者が混同誤認するおそれを生じさせること（商68）により、当該商標権を直接侵害する以外に、非類似商品／役務に使用し、著名商標の識別性または信用を損なうおそれを生じさせた場合も、商標権の侵害とみなされ、民事責任を負うことになります。

（2）他人の著名な登録商標であることを明らかに知りながら、商標としての使用ではなくても、当該商標中の文字を自己の会社、商号、団体、ドメインネームまたはその他営業主体を表彰する名称とし、関連する消費者が混同誤認するおそれを生じさせた場合（たとえば、営業主体が経営する業務範囲と著名登録商標について指定された使用商品／役務が同一または類似である場合）、または著名商標の識別性もしくは信用を損なうおそれを生じさせた場合（たとえば、営業主体が経営する業務範囲と著名登録商標について指定された使用商品／役務が非類似である場合）、いずれも商標権の侵害とみなされ、民事責任を負うことになります。

　台湾のドメインネーム登録には「先願登録主義」（「先に申請した者が勝ち」という原則）が採用されているため、他人の商標文字をドメインネームとして先取り登録した者に対し、次のような対処が考えられます。

（1）ドメインネームの使用または標示は、商標としての使用ではなくても、他人の著名な登録商標であることを明らかに知りながら当該商標中の文字をドメインネームにして、混同誤認するおそれを生じさせた場合、または著名商標の識別性もしくは信用を損なうおそれがある場合、商標法第70条第2項の商標権を侵害する状況に該当する可能性があり、民事権利侵害責任を負うことになります。

（2）ドメインネーム紛争の処理弁法（中国語：網域名稱爭議處理辦法）第5条で規定された「登録されたドメインネームと他人の商標、標章、氏名、事業者名称またはその他の標識が同一または類似しているため混同を生じる状況」に該当する場合、当該他人はドメインネームの登録を主管する機関であるTWNIC（Taiwan Network Information Center、中国語：台湾網路資訊中心）の紛争処理機構に申立を行うことができ、同機構の専門チームによりドメインネームの取消または譲渡が決定されます。現在は情報工業策進会化学技術法律センター（中国語：資訊工業策進會科技法律中心）および台北弁護士会（中国語：台北律師公會）が申立処理機構となっています。

　商標権者は、登録された指定商品／役務について商標権を取得します。指定商品／役務の出処を正確に示す商標機能により得られる権益を保障するため、同一の商品／役務について登録商標を使用する場合や、類似する商品／役務において登録商標と同一の商標を使用することにより関連する消費者に混同誤認を生じさせるおそれがある場合は、商標権者の同意を得なければなりません（商35Ⅱ）。ただし、次に掲げる状況に符合し、自己の商標として使用するのではない場合や、市場の公平な競争や消費者の権益等に影響しない場合は、商標権の効力による拘束を受けません（商36）。

（1）商業取引の慣習に符合する誠実かつ信用できる方法で、自己の氏名、名称、またはその商品／役務の名称、形状、品質、性質、特性、用途、産地またはその他商品／役務自体に関する説明を表示するが、商標として使用しない場合。たとえば、説明性を有する文字に商品／役務の品質、性質、特性、産地の説明が含まれる場合、電池上に特定のブランドの携帯電話へ適用される旨が表示されている場合、または商品上に特定のブランドの製品または部品を含む指示がある場合。これらの状況に関しては、出処を示す商標使用ではないため、消費者が商品／役務に対し混同誤認するおそれがない場合は、商標権の効力による拘束を受けない。

（2）商品／役務の機能を発揮するために必要な場合。商標の機能性とは、特定の商品／役務のデザインまたは特徴（たとえば、商品の形状、商品のパッケージ、音、色、匂い等）を指し、商品／役務の用途もしくは使用目的にとって欠かせないもの、または商品／役務のコストもしくは品質に影響するものであり、その使用は他人の商標権の効力による拘束を受けない。

（3）他人の商標の登録出願日前に、善意で同一または類似の商標を同一または類似する商品／役務に使用する場合。ただし、それは原使用の商品／役務に限る。その場合、商標権者は当該商標を使用する者に対して、適当な区別表示の付記を要求することができる。

（4）登録商標を付した商品が、商標権者またはその同意を得た者により国内外の市場で取引され流通する場合、商標権者は当該商品について商標権を主張することができない（例えば、真正品が並行輸入される場合）。ただし、商品が市場で流通した後、商品の変質、毀損が発生するのを防止するため、またはその他正当な事由がある場合は、この限りではない。したがって、商品を輸入する際は、輸入商品のパッケージや商品の状態を任意に変更すべきではなく、「その同意を得た者により国内外の市場で取引され流通する場合」に当てはまらない場合は、ただし書きを付ける。