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10月からくまモン商品の海外販売を全面解禁するのを前に、熊本県はすでに第三者による商標登録が相次いでいる中国国内での対抗措置を本格化する。イラストだけでなく文字も多数登録されており、「県が許諾した本物が逆に商標権侵害で訴えられることになりかねない」と対策を急ぐ。
県は現在、中国でくまモンのイラストと日本語表記に加え、外国語表記「酷MA萌」「KUMAMON」を商標登録している。
ただ県の調査では、5月10日時点で中国国内での第三者の登録済み商標は37件、申請中が175件に上った。2016年から増え始めており、イラストのほか、中国語や英語、日本語表記も確認された。出願者はいずれも権利関係のない第三者で、商標権の買い取りを期待した登録もあるとみられる。
中国でのイラスト利用の申し込みは4月の受け付け開始以降150件とアジア圏で突出しているが、こうした状況で県は許諾を見合わせざるを得ない状況だ。
県くまモングループは対策として、1件ごとに当該行政庁への異議申し立てや無効審判の請求といった法的措置で徹底的に対抗する構えで、海外での不正利用対策に詳しい広告会社と協議を重ねている。
ただ、著作権で守られているイラストと比べて、文字商標は、より難しい面がある。文字を入れ替えただけの類似商標も多く、第三者より先行して商品を流通させていたことなどを証明しなければ、県の正式な許諾品が権利侵害を問われる可能性すらあるという。
法的措置の決定には少なくとも1年程度かかるとみられ、県は当面はイラストのみの許諾に限るなどして対応する。同グループは「商品を安心して流通させ、購入できる環境を整えることで、くまモンのブランド価値を高めたい」と話している。(並松昭光)
(2018年5月31日付 熊本日日新聞朝刊掲載)